2019年4月4日木曜日

あの事件のこと

元号が「令和」に決まった。安倍首相が会見で『世界に一つだけの花』に言及していて、とても驚いた。私は、この曲を作詞作曲した槇原敬之ことマッキーのファンなのだ。
 
マッキーのファンクラブに入会したのは、中学を卒業してからすぐ。初めての郵便振替に戸惑いながら、なんとかお金を振り込むことができた。本当にこれで入会できたのだろうか。そわそわしながら待っていたら数日後、会報と『北風』オルゴールが届いた。その年、マッキーの30歳の誕生日で、お祝いの手紙を送った。コンサートチケットも申し込み、ああやっと大好きなマッキーに会える。楽しいファンクラブライフ。…のはずだったが、夏休みの課題に追われている頃、友人からその事件を知らせる電話がかかってきた。
 
「マッキー、逮捕されたってよ」
「え、なに言っているの」
「テレビつけてみなよ、今やっているから」
 
受話器を置いて、リモコンを手に取りテレビをつけるとマッキーが映っていた。覚せい剤取締法違反で逮捕のニュース。その日は、たくさんの友達から「大丈夫?」って、電話がかかってきた。「大丈夫だよ」、本当は頭が真っ白で、何が大丈夫なのかわからないけれど、みんなにそう答えていた。
 
裏切られた。そう思った私はファンクラブもやめてしまおうかと思ったが、ファンが支えることで彼は罪を償い、また素晴らしい歌を聞かせてくれるのではないか…そう思った私はファンクラブを続けることにした。翌年11月。復帰後最初のオリジナルアルバム『太陽』を聞いたときはとても感動した。その数年後『世界に一つだけの花』の大ヒット。もうすぐ小学校2年生になる息子の音楽の教科書にも載っている。間違いなく平成を代表する歌の一つになったと思う。いろいろあったけど本当によく耐えてきたと思う。マッキーのファンを辞めないで良かった。
 
コンサートやテレビの公開収録にもたくさん行った。手の届きそうな位置でマッキーを見ることができたことも何度かある。でも楽しい時間が終わった後に、「ああ、この人はあの時、薬物で逮捕された人なんだな」って急にあの事件のことが頭を過ることがある。「触れてはいけないことですよ」って、熱心なファンの方に怒られてしまうかもしれないけれど、時々、すごく怖くなる。それでもCDが出たら買ってしまうし、コンサートがあれば行く。もう生活の一部なのかもしれない。
 
今年の5月1日から始まる令和も、マッキーのすばらしい曲がたくさん聞けますように。50歳の誕生日もお祝いしなきゃ。

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